医師転職を考えるにあたり自治体病院の現状を見てみる。
2015/09/16

今回は医師の転職候補先のひとつ、自治体病院の現状を見ていこうと思う。
直近の公的データ(平成24年11月末)によると、いわゆる自治体病院の数は下記の通りとなっている。
都道府県216病院
市町村672病院
地方独立行政法人73病院
合計961病院となっている。※あくまで病院のみで「公立の診療所」は含んでいない。
全国47都道府県に961の自治体病院、結構な数の自治体病院が存在しているが、
近年は地方独立行政法人化や診療所化、民間移譲(公設民営)等により「純粋な」自治体病院の数は減少傾向にある。
自治体病院は、地域の基幹病院として、がん治療をはじめとした高度な医療、そして小児医療、救急医療等、いわゆる不採算部門と呼ばれている分野、更には山間僻地、離島などの地域医療など、民間病院では採算性の問題から手掛ける事が困難な医療までを担っている。
元々、自治体病院は大学医局との関係が深く、関連病院として医師派遣を大学医局に依存している病院が多い。従って、自治体病院での勤務経験がある医師は当然の事ながら多い。
それら医師のマインド的には医療設備や医療水準、スタッフの質と量、そして福利厚生や待遇、ネームバリューなど、「自治体病院」の環境が彼らにとっては、ひとつのスタンダードであり、民間病院やクリニック、その他の医療機関などと比較する際のひとつのベンチマーク(標準)となっているような印象を受ける。
そして、自治体病院に限らず病院経営の根幹をなすものは医師の確保であるが、近年の医師不足等により、都市部から離れた地方の自治体病院においては、
・大学の医局員減少→地方自治体病院へ派遣していた医局員の引き揚げ
・やむなく自前の医師採用(医師公募)を開始するも、公立病院規定による給与水準の制約などから思うように医師を採用する事ができない
といった状況に置かれている自治体病院は少なくない。
自治体病院の経営状況は、診療報酬のマイナス改定が続いた平成18年には78.9%の自治体病院が経常損失を計上、即ち赤字という状況であったが、現在(2015年)はその頃の最悪の状況からは一歩抜け出した感はあるものの、未だ4割程度の自治体病院が赤字と言われている。
近年の診療報酬改定(僅かながらプラス改定)が大病院に有利な制度となっている事から、特に中小規模の病院においては、医師・看護師をはじめ医療スタッフの人材確保が難しい環境下に置かれている事から引き続き厳しい経営を強いられていると言える。
さて、ここで医師の転職に目を向けると、
都市部の自治体病院(特に大病院)は依然として大学医局の重要な関連病院となっているところが多く、そういった病院では医局員以外の医師がポストを得る事は簡単ではない。
他方、少し都市部から離れた郊外に行くと大学からの医師派遣を期待できない中規模(200~300床規模)程度の自治体病院は全国に数多く存在している。
そういった自治体病院では医師の公募や人材紹介会社を活用した医師採用など前例に囚われない取り組みを積極的に行う施設も増えてきている。
こういった自治体病院では医師転職による入職で居場所(ポストと待遇)と仕事のやりがいを得るチャンスは大いにある。
医師の世界はとても狭く必ずしも希望通りの病院で希望するポストにつけるとは限らないので安易な医師転職はあまりお奨めしないが、一度は民間病院に転じてみたものの、やはり公立病院での勤務の方が良いと感じる医師もいる事と思う。
またその逆の医師もいるだろう。
それぞれの価値観や希望する働き方で自らの働く病院を選べばよいと思う。
以上、簡単に自治体病院の現状を見てきたが、
また、次回も関連する話題を続け、医師の転職マーケットを俯瞰していきたい。
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