形成外科の医師と美容外科について考察

2016/03/01

形成外科の医師と美容外科についての考察

最近の事だが親しい形成外科医からアルバイト探しの相談を受けた。彼は大学の形成外科医局に籍をおいて形成外科医としての修練を続けており、現在は関連病院の形成外科で勤務医として働いている。今いる一般病院の形成外科で勤務を続けながら、将来を見据え美容外科も勉強する為に外の世界(自由診療の美容外科)も見てみたいという。

そして、ほぼ時を同じくして美容外科クリニックの経営企画やマーケティングの担当者の方ともお話しをする機会があった。形成外科医のアルバイトや転職支援をスムーズにサポートできるように私自身が美容医療界について確り理解しておく必要があり、現状を把握してみようと思い立ったので、このコラムで何回かに分けて見て行きたいと思う。

美容医療分野の団体について

まず、美容医療分野の団体を確認しておこう。

◎内閣府認定 公益社団法人 日本美容医療協会(JAAM)

この協会は、「形成外科医を中心とする開業医、大学、一般病院勤務の形成外科医で構成される日本美容外科学会(JSAPS⇒後述)が母体となり、厚生省の指導と日本医師会の支援により平成3年4月20日に厚生省より設立許可され、発足から20年以上にわたる活動の実績が認められ、平成23年3月29日には、美容分野で唯一、内閣府より公益社団法人の認定を受けています。」という公的色合いの濃い(公的なお墨付きのある?)団体のようである。

更に『日本美容外科学会』というものがあるのだが、これが何と同じ名称で2つの団体が存在するのである。

◎一般社団法人 日本美容外科学会(JSAPS=Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery)
昭和52年設立、会員数 約1,200名
◎一般社団法人 日本美容外科学会(JSAS=Japan Society of Aesthetic Surgery)
昭和41年設立、会員数 約1,012名

うーん、これは一般人や患者が混乱しかねない非常にややこしい状況にある。
美容外科医療の分野に進もうと考える若手の形成外科医や転科して美容外科医になろうという医師、更にはこれから自分の専門科目を決めようとする研修医や医学部学生も混乱する同じネーミングの学会が並立(乱立?)しているのである。

JASPSのHPには、自分達の団体は「国際美容外科学会(ISAPS)から認められた、日本で唯一の美容外科学会である」という事を主張すると共に下記の記載がある。

2つの日本美容外科学会

ここでお話しておかなければならないことがあります。美容外科に関してはその歴史的成り立ちや物の考え方の違いなどから、「日本美容外科学会」という同名の団体が2つ存在しています。

英文名は、私共の学会はJapan Society of Aesthetic Plastic Surgery(JSAPS)であり、他方はJapan Society of Aesthetic Surgery(JSAS)と違うのですが大変似た名前です。このホームページはこのうち、日本美容外科学会(JSAPS)の公式サイトです。検索していただければ原則として日本形成外科学会の専門医認定証を持ち美容外科に精通している「日本美容外科学会(JSAPS)の正会員の名簿」が登載されています。当学会の美容外科医をお探しの場合には、この公式ホームページに加え、学会事務局には名簿がありますので、電話にてお問い合わせも可能です。
※各医院やクリニックでおこなっている治療内容やクリニックのご紹介はいたしかねます。

という内容である。

一方のJSASの方もHPで、

現在の日本美容外科学会の懸案事項は、二つの同名の学会をどうするか、さらに専門医制度、事故調査委員会問題などを中心に山積しています。

という記載をしており、同名の学会が併存している状況を問題視している。

同じ名前の学会組織が2つ存在する為、どちらも「日本医学会」にも「日本医師会」にも加盟する事が出来ないという困った現状にあるようだ。
どっちが本物かみたいな、どこかの帆布カバン屋さんの本家争いのような様相を呈しているのである。

どちらがどうというのはここでは差し控えるので、詳細を知りたい医師の方は、自分で各々のHPを確認するなどして判断して欲しい。

まだ他にもある美容外科の団体

この2つの「日本美容外科学会」の他にも下記の団体もあり、ややこしい(と言うと関係者の方からお叱りを受けそうだが・・・)。

◎特定非営利活動法人 日本美容外科医師会

この団体の所属会員(医師)を見てみると、TVコマーシャルなどで有名な全国チェーンのクリニックを展開している美容外科医が多いが、必ずしもそれらTVCMなどで著名な美容外科医が例外無く名を連ねている訳でも無いから、それぞれの主義主張があるのだろう。

やや乱暴な分類かもしれないが現在の日本の美容外科の世界は、
・「(主に大学の)形成外科を基盤に発展してきたグループ」
・「美容外科として独自に発展してきたグループ」
・「美容外科の新たなグループ」

が異なる立場や考え方で、互いに相容れず、別々の道を歩んでいるといった感じであろうか。

少し長くなってしまったので今日はこの辺りにして次回コラムで美容医療界についての話題を続けて見ていきたいと思う。

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著者:三木正孝


医師転職コンシェルジュ代表。医師の方が自分らしい働き方、ライフスタイルを過ごす事が出来る様な転職支援を行う医師転職コンシェルジュを運営しております。医療業界や医師転職に関する情報に独自の意見も加えて発信していきます。どうぞよろしくお願いいたします。

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