静岡県の医師求人募集マーケットを俯瞰(駿東田方医療圏)

2016/09/09

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静岡県の医師需給状況を俯瞰するシリーズの6回目。

2次医療圏ごとに主要病院や医師の求人ニーズなどのアウトラインを確認していく主旨で初回は静岡市を中心とする「静岡医療圏」の概況を、2回目は静岡県西部の中心都市・浜松市と湖西市の2市で構成される「西部医療圏」を、3回目は「中東遠医療圏」を、4回目は「志太榛原医療圏」を、そして前回5回目は「富士医療圏」をコラムでお届けした。

今回は伊豆市、沼津市、三島市、御殿場市、裾野市、伊豆の国市、函南町(かんなみちょう)、清水町、長泉町、小山町の6市4町で構成される「駿東田方(すんとうたがた)医療圏」を見ていきたい。

駿東田方医療圏について

「駿東田方医療圏」は人口約66万人を抱え、静岡県の中では比較的大きな医療圏であり、「西部医療圏(浜松市など)」約85万人、「静岡医療圏(静岡市)」約71万人に次ぐ静岡県内第3位の人口規模の医療圏(面積も西部、静岡に次いで第3位)となっている。

そして前回の「富士医療圏」同様に霊峰富士を仰ぎ見つつ、駿河湾の海の幸に恵まれ、伊豆半島の付け根から東は神奈川県に隣接する広い範囲をカバーする静岡県東部の中心的な医療圏である。 この圏域内には48病院があり、うち500床以上(一般・療養)の病院は下記3病院となっている。

■ 500床以上の病院

    県立静岡がんセンター
    沼津市立病院
    順天堂大学医学部附属静岡病院

県立静岡がんセンター(平成25年の運用開始)は国から高度先端医療等を行う「特定機能病院」に認定されている病院である。 そして、200床以上500床未満の病院は下記の5病院がある。

■ 200床以上500床未満の病院

    静岡医療センター
    聖隷沼津病院
    JA静岡厚生連 リハビリテーション中伊豆温泉病院
    フジ虎ノ門整形外科病院

・(調べていたのだが、あと1病院はどこか見付けられなかった・・・)

「駿東田方医療圏」の医療機関に従事する医師数は1,362人(人口10万人当たり204.0 人)。
全国平均の237.8人よりは少なく、静岡県平均の193.9 人よりはやや多い医師数となっている。

しかし、がん医療に特化し静岡県全体をカバーしている静岡がんセンターの勤務医数を除外すると県平均を下回る数字になり、必ずしも医師数が充分とは言えない実態も見えてくる。 医師数の充足度では西部圏域(浜松)、熱海伊東圏域、静岡圏域に次いで静岡県内全8圏域中の4番目といった辺りのようだ(平成24年12月31日現在、厚生労働省調査より)。

この圏域の中心都市は人口規模から見て、沼津市(人口約20万人)と言えると思うが、隣の三島市(人口約11万人)は昔から沼津市への対抗意識が強いと言われており、JCHO三島総合病院(旧・三島社会保険病院)をはじめとした医療資源の整備(周産期センター業務開始計画など)でもその辺りの色が出ているとの話も聞く。

静岡県東部の産科救急は沼津市立病院と順天堂大学医学部附属静岡病院(伊豆の国市)にこれまで頼ってきたので、JCHO三島総合病院の周産期センター開設を目指してその負担軽減を図りたいとしているが、全国的な産婦人科医不足(という使い古されたキーワード)もあり、ここでも産婦人科医や小児科医の確保はなかなか大変なようだ。

H27年10月の診療開始を目指していたが、医師の確保が思うように進まず、今年3月に約半年遅れで取り敢えずのスタートとなった(産婦人科の常勤医1名、非常勤医2名の体制で、2次周産期医療機関としての運用目処は立たないまま)。

全国的に常勤医師を確保できていない事が少なくない現状

本日、病院のHPを見てみたのだが、婦人科(非常勤医師)など他科の記載はあるものの、産科(周産期)は外来診察表に月~金まで診療と記載があるだけで医師名や詳しい情報を見付ける事はできなかった。
早産、未熟児などを診る小児科医は一人も確保できず、常勤の小児科医、産婦人科医の確保、増員を今後も進めたいとしているが、2次周産期医療機関としての運用計画は事実上暗礁に乗り上げているというのが実態なのだろう。

この駿東田方に限らず、個別に地域の事情を見ていくと、政治家の公約による医療整備計画や地域のニーズを受けて、行政からの補助金などを原資の一部にして立派な病院が新たに建設されたり、複数の公立病院を統合して新しい基幹病院が生まれたりといった事がよくあるが、問題は常勤医師を思うように確保できていないケースが全国的に少なくない事である。

激務が予想されるような人員計画では当然応募してくる医師は殆どおらず、ここで働きたいと医師に感じてもらえるような環境整備、無理のない人員計画(これがとても重要)、そして相応の待遇なくしては医師の安定的・長期的な確保は容易では無いという事だろう。

この圏域の医師の分布を御殿場市(人口約9万人)、伊豆の国市(人口約5万人)、長泉町(人口約4万人)なども含め見てみると、沼津市(356人)、三島市(160人)の他、御殿場市(111人)、そして、順天堂大学医学部附属静岡病院が立地する伊豆の国市(251人)、静岡がんセンターが立地する長泉町(230人)などが当然の事ながら医師数が多くなっている。

以上、静岡県・駿東田方2次医療圏の概況を簡単に見てきたが、この圏域で医師として働きたいという先生がいればまずは気軽にご相談をいただきたい。

医師転職コンシェルジュへのご相談・ご質問はこちら 次回以降も、静岡県の他の2次医療圏の医師需給状況を俯瞰する内容でコラムを続けたい。

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著者:三木正孝


医師転職コンシェルジュ代表。医師の方が自分らしい働き方、ライフスタイルを過ごす事が出来る様な転職支援を行う医師転職コンシェルジュを運営しております。医療業界や医師転職に関する情報に独自の意見も加えて発信していきます。どうぞよろしくお願いいたします。

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