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2020/05/19
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新型コロナの感染拡大で47都道府県に緊急事態宣言が発出されている本日時点(本稿執筆2020年5月14日)、医療機関はどのような状態なのか医師転職コンシェルジュに入っている情報を基にお伝えしたい。
東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、京都、北海道の8都道府県を除く39の県では緊急事態宣言が間もなく解除される見通しとなっているが、日本全国の医療機関ではコロナ疑い患者の受入れや発熱外来設置など懸命な対応が続いている。
新型コロナ患者対応の最前線に立ち、命懸けで診療や治療にあたっている医師や看護師など医療スタッフからは悲痛な声が上がる状態が2月から続いている中、医師採用の動きにも異変が起きている。
今、病院やクリニックなど医療機関では未だかつて誰も経験した事がない事態に直面している。
未知のウィルスである新型コロナ(Covid19)感染症の恐怖と感染対策などの対応に追われ、医療機関の現場では採用活動の優先順位は下がり、不要不急の業務という位置づけになるところが出てきている。
医師採用活動を休止する医療機関が増えてきているのだ。
一例を挙げるとその影響は全国に及んでいる。
4月初旬 岡山県の総合病院:落ち着くまで医師の採用活動をストップ(医師紹介の相談含め全て停止)
4月初旬 東京都23区内の総合病院 :一旦医師の採用はストップ
4月初旬 山梨県の総合病院:病棟にて罹患あり。スタッフ2名陽性→医師募集は継続
4月初旬 埼玉県の総合病院:医師採用継続(県の要請により障害者病棟をコロナ専用病棟へ調整中。障害者病棟患者の転院先確保等で慌ただしくなっており医師採用活動の進捗は鈍化)
4月中旬 福岡県の総合病院:医師の選考はゴールデンウィーク明けまで一時停止→医師の募集は継続
4月中旬 埼玉県の総合病院:今後1年間は医師の新規採用は停止する予定
4月中旬 北海道の公立病院:医師の採用は当面休止
4月下旬 千葉県の医療法人グループ全体:ゴールデンウィーク明けまで医師採用の面接実施不可(採用は継続)
4月下旬 神奈川県のクリニック:ゴールデンウィーク明けまで健診中止(事務長など事務方も在宅勤務でテレワークの為、採用活動も中止)
4月下旬 福島県の総合病院:医師の採用活動休止
4月下旬 宮城県の公立病院:医師の採用活動休止
4月下旬 大阪府の一般病院:ゴールデンウィーク明けまで医師の採用活動を一時休止
4月下旬 東京都の眼科単科病院:医師の採用活動を一時休止
新型コロナの感染拡大で健診事業・人間ドックなどの業務は不要不急とされ、健診センターの受付を当面ストップする医療機関や健診機関が散見される。
そこで仕事をしていた健診医は、常勤医の場合は仕事内容が変わってしまうか、悪くすると雇用調整や給与ダウンなど雇用不安に直面。非常勤医の場合は、突然アルバイト先を失う事になる整理解雇といった事態が各地で発生しており健診医やアルバイト先を失った各診療科の医師からの相談や問い合わせが増加している。
アルバイト代で給与や月給の不足を補う医師は多い。医師の世界にも雇用不安や経済不安の影が忍び寄っているのだ。医師の世界でも複数の収入源をキープしておく事の重要性が今、改めて再認識され始めている。
都道府県や地域からの要請に応える形で、病棟の外にテントを設置して発熱外来を開始する病院が増えている。
病院やクリニックで新型コロナの感染者が出てしまい大変な事になっているのをニュースで見た人は多いだろう。
患者や家族、医師、看護師、病院職員など誰かが感染してしまい、そこから院内感染などクラスターが発生してしまうと外来診療休止や救急受入休止といった緊急措置が余儀なくされる為、コロナ疑いの患者さんへの対応として病棟の外(オープンエアー)に陰圧設備を備えた特殊テントを設置してそこで診察するという対策を採る訳だ。
新型コロナで世界が一変する中、平時では決して顕在化しない医療機関の優劣や組織体質、内情が浮き彫りになる例もある。
医療機関の経営トップが未曽有の混乱に右往左往して自らの保身に走り短絡的な施策を講じる様を見ると、そこで働く医師やコメディカル、事務職員などは先行き不安(経営不安や雇用不安)を敏感に感じ取る。その上、感染不安に曝される勤務が続き労働環境が改善されず見切りを付けた看護師が大量退職。
それを引き金に医師がひとりまた一人と退職して、病棟を診る医師が減り、外科手術の延期や休止も増加、機能不全に陥り病院収益が急速に悪化しているという情報が入ってきているところもある。
そんな中、afterコロナやwithコロナを見据えて医師採用をむしろ強化する医療機関が存在するのは頼もしい限りだ。
医師の求人応募は今も大歓迎、面談や面接はZOOMなどオンラインで対応しますと言ってくれる病院やクリニックも増えている。
実際に病院を訪問する事なく、オンライン面接のみで採用内定、契約締結という事例が既に出始めている。
そういう医療機関は経営トップである理事長や院長、事務局長や医師採用担当者の動きが早く的確だ。そして、決断も早い。もし、間違っていたら間違いを素直に認め即座に謝罪、そして、すぐに軌道修正をする。誰も経験した事が無い事が起こっているのだから、こういうトライアルアンドエラーの精神は今のような非常事態にこそ威力を発揮する。
医師紹介のメールを送ると即座に折り返しの電話が掛かってくるなど優秀で誠実な人事採用担当者がいるところは経営トップも人格者である場合が多いように感じる。
やはり組織は人が財産だと再認識する良い機会にもなっている。
平時であれば現地を実際に訪問して見て肌で感じてというステップを踏むのが通例で、駅から徒歩で歩いてみたり、車の場合だとルート選択や渋滞状況、所要時間などを確認してから内定を受諾して入職を決めるというのが一般的だが、今はかなりの事がオンラインや遠隔で出来るようになって思い切った効率化が可能だ。
こんな時だからこそ、これまでの常識に囚われず意識改革をして思い切って無駄と思われる事を排除して創意工夫をしてみる。
今のような変革の時に、画期的な技術革新や新たなサービスが生まれてくるのかもしれない。
著者:三木正孝
医師転職コンシェルジュ代表。医師の方が自分らしい働き方、ライフスタイルを過ごす事が出来る様な転職支援を行う医師転職コンシェルジュを運営しております。医療業界や医師転職に関する情報に独自の意見も加えて発信していきます。どうぞよろしくお願いいたします。
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